dear

大学生 そのとき書きたいことをそのまま

窓を開ける

今の家に越してきて2ヶ月半になります。

 

新築で白を基調としたシンプルなデザインも、3階建てのような構造も、ロフトへ続く階段が夜には光ることも、少し壁が薄くて隣の部屋から早口の中国語が毎晩聞こえてくるところも、なかなかに気に入っている。なかなかに気に入ってはいるのだが、

 

日当たりは悪い。

 

悪いというか、ない。

 

リビングにいてもロフトに登っても窓から一筋も陽の光は入ってきません。朝起きて着替えて顔を洗ってメイクをして、朝ごはんを食べてよっしゃ出るぞ、とドアを開けて初めてその日の天気の良さに気付くような。

 

東京に出てから一年と少し、外で洗濯物を干したこともなく。今の家は鉄のワイヤーみたいなものを壁から引き伸ばして洗濯物をかけることができて、それはそれでまあ楽しくて気に入ってはいるんだけどやっぱり人間はどこか本能で太陽の光を求めるものなのよねきっと。

 

カーテンを開けても、磨りガラスの向こうは何も見えない。もう窓は壁の一部のようになっていて、毎朝毎夜のカーテンの開け閉めに意味があるのかなんて思い始めていた頃です。

 

今日、初めて窓を開けた。

 

窓から身を乗り出すと空が見えて、うわっ空だ!と叫びたくなった。私は2階に住んでいるので家の周りの少しの景色を見渡せる。ふと目を横にやると風にはためく洗濯物が目に入った。

 

洗濯物?

 

慌てて下の階も覗くと私以外の部屋ではみんな洗濯物を外に干していた。窓を開けるとちゃんと洗濯物を干すための竿がつけられていて、私だけが2ヶ月ひたすら部屋干しを繰り返していたのだ。

 

洗濯物、外に干せたのか……!!!!!

 

なんだかすごく損した気分になった。同時に自分の部屋が突然開放的な場所に思えて嬉しくもなった。私の部屋はちゃんと外と繋がっている。

 

窓をひとつ開けただけで向かいの家の2階にテラスがあって色々な植物を育てていることや、部屋のソファーに座りながら風を感じたり家の前の道を走る子供の声を聞けることに気付けるらしい。

 

 

窓、すごい。窓は開けるものだ。