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大学生 そのとき書きたいことをそのまま

Advent

アドベント待降節。クリスマス4週間前の日曜日からクリスマスイブまでを指す。

 

クリスマスを待ちわびる期間だ。何かを待っている期間は楽しい。そういや日本にももういくつ寝るとお正月という歌があるななんて思い出す。

 


アドベントを楽しむイベントも幾つかあって。

 

まず、アドベントキャンドルというものがある。クリスマスリースのようなものの円周上に4つ、キャンドルを置く。そして日曜日が来る度に灯をともす。4つ全てのキャンドルに灯がともるとさあ待ちわびたクリスマス、というわけだ。むかしむかし孤児院かどこかで、毎日のようにねえクリスマスはまだ?あと何日?と聞いてくる子供にタイヤの上に4つローソクを置いて日曜日が来る度にカウントダウン。それが起源だとドイツ語の教授が話していた。正確な話かは分からないけど私はこの話が好きだった。なんだか可愛らしくて。

 

ドイツの、というか、本場のクリスマスはアドベント期間がメインといってもいいくらいだそうだ。街並みのライトアップや店々の飾り付けは24日までで、25日には綺麗さっぱりいつも通りになっていたりするらしい。

 


まあ何事も楽しみにしている期間が1番楽しいよね。

 


アドベントイベント(韻?)、アドベントカレンダーというものもある。カレンダーに小窓がついていて開けるとちょっとしたお菓子が入っていたりして、それを開けるのを、クリスマスまで1日ずつ近づいているのを毎日楽しみに過ごすわけだ。なんかこれも可愛いな。

 


アドベントカレンダーで思い出す話を一つ。

 


私の通っていた高校はプロテスタント教育に基づいていて。2年前、高校3年生の12月の私は、というかクラスの私達は、毎日のように夜遅くまで教室に残ってひたすら受験勉強をしていた。次々に更新される推薦組の楽しそうなInstagramの投稿とか、早々とメイクをして学校を去る友達を羨まないよう必死だった。大丈夫、受験が終われば、大学に受かれば、私達には楽しい生活が待っているから。そう思って。

 


そんな私達のために担任の先生が教室の隅にアドベントカレンダーを置いてくれた。

 


辛口で嫌味ばかり言う担任だったけど、最後まで残って勉強してたやつは食べてっていいぞなんて言って。扉を開けるとちょっとしたチョコレートなんかが入っていて、いそいそと1日1日のカレンダーの窓にお菓子を詰めている担任を想像して嬉しくなった。

 


あーあれ嬉しかったな。久しぶりに思い出した。

 


「何か楽しみがあること」って、いい。すごくいい。大仰な言い方だけど、今を頑張れる糧になる。ドイツの人達はクリスマスの何を楽しみにしているんだろう?当日にはライトアップもキャンドルも何もないのにね。

 

きっと私達は何もなしにその日を生きられるほど強くはないから、まだ来ない何かを楽しみに、なんとか今日を生きてるんじゃないかと思う。週末に友達と会えるなあでも、卒業旅行したいなあでも、いつか素敵な人に巡り合って幸せな家庭をでも、なんでもいいんだけど。

 


ちょっとイベントが苦手だった。
何か特別なことをしなきゃいけない焦燥感に追われるから。

 


「うわ、来週クリスマスじゃないっすか!やったー!」
「なんか予定あんの?」
「別にないっすけど…普通に今日と同じように塾来るし、あっ、そうだ俺来週なんかお菓子買って来ますね!」

 

男子高校生の生徒が無邪気に話していた。ああもう私お前のことすげー好きだよ。

なんか特別なことをするから、じゃなくてその日がなんか特別だから、イベントなんだよな。イエスも優しいしそんな祝い方で愛してくれるでしょう。

 


良いクリスマスを!