dear

大学生 そのとき書きたいことをそのまま

正義感について

中学校に入ったばかりの私はスカートを短くすると先生に怒られた。
先輩は金髪の髪をかきあげ下着の見えそうなスカートでその先生の目の前を通り過ぎても何も言われなかった。
私は悔しかった。短くしていいのか、だめなのか、どちらかにしてほしかった。
私は先輩の姿を見てああこの学校は生徒の制服の着こなしにあまり口うるさくない方針なのだと思ってスカートを短くしただけなのだ。その後生徒手帳を見ると「スカートは膝の半分が隠れるくらい」と書いてあった。私は短いスカートで校庭を走り回る先輩達を見た。先生は「1年生なんだからそんなにスカートを短くするのはやめなさい」と私に言った。そのうち私が常に学年上位3位に入る成績を取り出すと誰も私のスカートの短さを注意しなくなった。

「女子の制服のスカートは1年生は短くしてはいけない」と書けば良いのだ。さらに「成績の優秀な者はスカートを短くして良い」とも。

私は今でも覚えている。
世の中はあまりに理不尽だ。

高校生活は楽しかった。私は私立の伝統ある女子校の特進コースへ進学した。規則は厳しかった。皆に厳しかった。私は膝を掠めるスカートの長さになんの不満もなかった。ある程度の偏差値が求められる場所だったので、クラスメイトは皆頭が良かった。勉強ができる、教養があるというだけでなく、人間という社会的な生物として能力が高かったと思う。行事で和を乱すような者も基本的におらず、真剣に向き合い泣き出す者もいた。楽しかった。私はすごく楽しかった。

せっかく進学した大学は2ヶ月で行かなくなってしまったが、次に受験するまで働いていた塾は楽しかった。今思うと、私は少しバイトとして正しくないくらい張り切っていたように思う。授業時間外に生徒の自習対応を何時間もしていたり。私は時折正しくなかった。それでも、楽しかったし、私に向き合ってくれる生徒や講師の仲間や上司がいた。それなりに講師の採用に厳しい塾で、大抵の講師の先生は私よりも偏差値の高い大学に通っていた。彼等もまたとても賢い人達なのだと思った。


つい最近、私は焼肉屋のホールスタッフとしてバイトを始めた。ある程度もともと得意だった勉強を続けるばかりのバイトばかりしていても狡いなと思った。私は多分接客業が苦手だろうと思ったのもあった。私は2回の出勤後ストレスに耐えられず電話一本でイタリアンレストランのバイトをやめたことがある。

店長は接客なので、やる気、元気、愛想でお願いします!とハリのある声で言った。姿勢が良かった。文化系の私が馬鹿にしがちなノリだが、確かに私も客なら焼肉屋のスタッフにはやる気、元気、愛想が欲しいなと思った。私は店長に好感を持った。

今日まで数回ホールに出ている。少しずつ仕事を覚えていくうちに私はまた中学のスカートのことを思い出してしまった。


バカなのだ。
多分私は根がバカなのだ。

私は根がバカだから、店長は愛想、元気、やる気で、常に明るいテンションでいてくださいと言っていたのに、私の何十倍も長く働いている先輩が下げた食器を厨房に出すときに呟くような声で雑にお願いしますと言うことや、規則にダメだと書いてあったはずのクロックスを履いていることが、どうしても納得できないのだ。

私は、多分皆よりも接客業が苦手で、ハンディも扱えない今は、一回バイトが終わった瞬間からもう次のバイトが入っている日のことが胸に重くのしかかっている。それでも、私は、声を出すことを諦めないし、メニューをコピーしたものを家で眺めたりハンディの画面を写真で撮って覚えようとしていたり、とにかく、笑顔を、絶やさないように、必死で、やって、いるのだ!!!!

いるのだ!!!!!

私が大した人間でないことは私自身が一番理解しているが、大した人間でない私がこれだけ悩んで勉強して改善しようとしているのに何故私よりも結果を出していないあなた達は疑問も持たず悩まず改善しようとせずのうのうと思考を停止しているのだ!?!?!?

そう思ってしまう。エゴだ。店長はホールにいる以上何があってもテンションは明るく一定でいて下さい、それができないなら帰ってくださいと言っていた。

何故だ。何故あの蚊の鳴くような声でお願いしますと言った彼女は帰らされていないのだ。

帰らされていないのならどうしてできないなら帰ってくださいなどと言ったのだ。

スカートと同じだ。どちらかにして欲しい。私は何を信じればいいんだ。
私だけが店長の言葉を真に受けているんだろうか。私がバカなんだろうか。ある程度でうまく器用に回ればそれで世の中はいいんだろうか。いいんだろう。

では私の中のクソみたいな正義感をバカという言葉で片付けなくてはいけないのか。


本気で向き合ってもらえないことは正直に言うと寂しい。本当に寂しい。仕事だろうが恋愛だろうが合唱コンクールだろうがスカートの丈だろうがなんだって同じだ。


自覚すらしてもらえないなんて。


私は多分本当にバカなので、もっと良くなりたいのだ。基本的にもっと良くなりたいと思っているのだ。なんならみんなでもっと良くなりたいのだ。良くなりたいだけなのだ。思考を停止しないで欲しい。塾講師でも、焼肉屋のホールスタッフでも、合唱曲の完成度でも、恋人との関係でも、みんなでもっと良くなりたいのだ。それでもきっとこんなことを考えている私だけが本当は不器用でバカで寂しくなるのだ。

 

あーあ


でも私この自分のクソみたいな正義感のこと嫌いになれないんだよな。

でも他人に押し付けるとエゴだしウザいし優しくないし。

勢いのままに書ききったから結びが思いつかねえ!人生って難しいね!(おわり)